物流施設の賃貸マーケットに関する調査(2013年10月時点)

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【東京圏】

空室率は2.7%となり、前期の2.5%から0.2ポイント上昇。今期は調査開始以降で最大の新規供給であったが、堅調な需要に支えられ概ね均衡した需給動向。良好な需給環境を背景に、東京圏の募集賃料は3四半期連続の上昇。

【大阪圏】

空室率は0.7%となり、前期の1.2%から0.5ポイント改善。大阪圏では逼迫した需給環境を背景に、新規開発の動きが更に活性化。また、今期の募集賃料は3,200円/坪となり、前期から横ばい。

東京圏の賃貸マーケット動向


(1)需給動向

 2013年10月の東京圏の空室率は2.7%となり、前期(13年7月)の2.5%から0.2ポイント上昇した(図表1参照)。今期(13年8月~10月)の新規供給は38.4万㎡で、調査開始以降で最大の新規供給であったが、堅調な需要に支えられ概ね均衡した需給動向となった(図表2参照)。
 詳細にみると、スタートトゥデイ専用施設である「プロロジスパーク習志野4」(*1)、マルチテナント型物流施設である「ロジポート相模原」(*2)など計6棟が新規稼働した。また、GLPは「GLP座間」(*3)の再開発、ラサール不動産投資顧問および三菱地所は「ロジポート橋本」(*4)の着工、プロロジスは「プロロジスパーク市川3」(*5)の開発計画を発表した。超大型クラスのマルチテナント型物流施設が開発をリードしているが、BTS型物流施設の開発も盛んになっている。そのほか、開発用地の取得が困難であることから、既存施設の建替えも増加する傾向にある。

20131202_市況_図1東京圏の空室率の動向

20131202_市況_図2東京圏の需給バランスの動向

出所:株式会社一五不動産情報サービス


1.2013年8月29日付 プロロジス プレスリリースより
2.2013年9月4日付 ラサール不動産投資顧問(株)および三菱地所(株)プレスリリースより
3.2013年9月4日付 グローバル・ロジスティック・プロパティーズ(株)プレスリリースより
4.2013年10月4日付 ラサール不動産投資顧問(株)および三菱地所(株)プレスリリースより
5.2013年11月26日付 プロロジス プレスリリースより


(2)賃料動向

 2013年10月の東京圏の募集賃料は4,000円/坪で、前期の3,920円/坪から80円/坪(プラス2.0%)の上昇となった(図表3参照)。東京圏の募集賃料は3四半期連続の上昇となり、良好な需給環境を背景に募集賃料も上向いている。

 図表4では需給環境と賃料の関係性をみるため、募集賃料変動率と空室率(上下反転)を図示した。空室率(薄赤線)は過去4年にわたり改善しており、募集賃料変動率(赤線)も若干動きが激しいが、概ね上昇基調で、時々の需給環境が賃料水準の形成に大きく作用していることが改めて確認できる。

 また、11月29日に総務省より最新の消費者物価指数が発表され、2013年10月の食料及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)の前年同月比が0.3%上昇した。僅かな増加率であるが、“商品の保管庫”としての機能を有する物流セクターでは、その影響は大きい。
 周知の通り、物流施設の再調達コストである開発用地や建設コストも上昇している。賃貸物流施設の賃料上昇に繋がる要因が日に日に増えている。

20131202_市況_図3東京圏の募集賃料の動向

出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

20131202_市況_図4募集賃料変動率と空室率

出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:募集賃料変動率は3期移動平均。また、空室率は上下反転して図示している。

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大阪圏の賃貸マーケット動向


(1)需給動向

 2013年10月の大阪圏の空室率は0.7%となり、前期(13年7月)の1.2%から0.5ポイント改善した(図表5参照)。大阪圏の空室面積は、前期で既に2.7万㎡と少なかったが、その後も空室消化が進み、今期の空室面積は1.6万㎡まで減少した。
 詳細にみると、今期(13年8月~10月)においてMonotaRO専用施設である「プロロジスパーク尼崎3」(*6)が新規稼働した。また既存施設でも稼働率が上昇したことで更なる需給改善に繋がった。

 大阪圏では逼迫した需給環境を背景に新規開発の動きが活発で、SGリアルティは「SGリアルティ舞洲」(*7)の着工を発表した。また、プロロジスが開発を発表した「プロロジスパーク茨木」(*8)は大阪圏では最大のマルチテナント型物流施設となる。賃貸マーケット以外でも、大阪府都市開発株式会社(OTK)株式の優先交渉権者が発表(*9)されるなど、大阪圏では注目ニュースが相次いでいる。


20131202_市況_図5大阪圏の空室率の動向

20131202_市況_図6大阪圏の需給バランスの動向

出所:株式会社一五不動産情報サービス


6.2013年9月26日付 プロロジス プレスリリースより
7.2013年9月27日付 SGリアルティ(株) プレスリリースより
8.2013年11月26日付 プロロジス プレスリリースより
9.2013年11月26日付 大阪府プレスリリースhttp://www.pref.osaka.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=15018


(2)賃料動向

 2013年10月の大阪圏の募集賃料は3,200円/坪で、前期から横ばいとなった。大阪圏の募集賃料は概ね横ばいであるが、実勢の賃料相場は徐々に上向いている。上述の通り、空室率に代表される需給環境は良好であることから、今後、募集賃料も上昇に向かうことが期待される。 

20131202_市況_図7大阪圏の募集賃料の動向

出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。


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データ集

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