物流施設の賃貸マーケットに関する調査(2024年1月時点)

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【東京圏】

・今期(24年1月)の空室率は7.1%で、前期の6.4%から0.7ポイントの上昇となった。今期(23年11月~24年1月)の新規供給は59.2万㎡と低水準であったが、新規需要はこの5年間で最も低い34.3万㎡に留まり、需給緩和に歯止めがかかっていない。
・東京圏の募集賃料は4,620円/坪で、前期の4,600円/坪から20円/坪(プラス0.4%)の僅かな上昇となった。需給緩和による賃料下落圧力と建築費の上昇に伴う賃料上昇圧力が拮抗しており、募集賃料は概ね横ばいである。

【関西圏】

・今期(24年1月)の関西圏の空室率は3.0%で、前期の3.7%から0.7ポイントの下落となった。今期(23年11月~24年1月)の新規需要は41.4万㎡となり、調査開始以来で過去3番目に高い水準で、堅調なニーズを背景に賃貸市況は良好である。
・関西圏の募集賃料は4,240円/坪で、前期の4,230円/坪からほぼ横ばいである。良好な賃貸市況を背景に落ち着いた賃料動向で、目立った変化はみられない。


1. 東京圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向

2024年1月の東京圏の空室率は7.1%で、前期の6.4%から0.7ポイントの上昇となった(図表1参照)。
今期(23年11月~24年1月)の新規供給は59.2万㎡と低水準であったが、新規需要はこの5年間で最も低い34.3万㎡に留まったため、需給緩和に歯止めがかかっていない。

具体的にみると、ヒューリックによる「ヒューリックロジスティクス野田Ⅰ」「ヒューリックロジスティクス柏」(*1) 、三菱地所による「ロジクロス座間」、「ロジクロス相模原」(*2)、シーアールイーによる「ロジスクエアふじみ野A」(*3) など計11棟が新たに竣工したが、満室稼働は3棟と少なかった。

今後の開発計画では、ジーエルアールインベストメントによる「蓮田ロジスティクスセンター」の冷凍冷蔵倉庫へのコンバージョン(*4)、KIC ホールディングスによる「KIC 春日部ディストリビューションセンター2」の着工(*5)、プロロジスによる「プロロジスアーバン東京錦糸町1」の開発(*6) 、日本GLPによる「GLP境古河Ⅰ」の着工(*7) 、シーアールイーによる「ロジスクエア厚木南」の開発(*8) 、霞ヶ関キャピタルによる「LOGI FLAG TECH 越谷Ⅰ」の開発(*9) 、大和ハウス工業による「(仮称)DPL東雲」の着工(*10) 、相鉄アーバンクリエイツおよびクレド・アセットマネジメントによる「CREDO羽村」の着工(*11)、ラサール不動産投資顧問による「(仮称)谷田部物流センター」の着工(*12)、SGリアルティによる「(仮称)SGリアルティ新砂」の着工(*13) などが相次いで発表された。

上述の通り、東京圏では需給緩和局面でも新規開発の動きは継続しているが、最近は東京都心近郊や冷凍・冷蔵倉庫など、他の募集物件と差別化しやすい開発計画が目立つ。

202401_市況_図表1 東京圏の空室率の動向

202401_市況_図表2 東京圏の需給バランスの動向
出所:株式会社一五不動産情報サービス

1.2023年11月9日、12月20日付 ヒューリック(株) プレスリリースより
2.2023年12月1日付 三菱地所(株) プレスリリースより
3.2024年1月31日付  (株)シーアールイー プレスリリースより
4.2023年12月1日付 ジーエルアールインベストメント(株) プレスリリースより
5.2023年12月5日付 KIC ホールディングス(株) プレスリリースより
6.2023年12月6日付 プロロジス プレスリリースより
7.2023年12月11日付 日本GLP(株) プレスリリースより
8.2023年12月25日付  (株)シーアールイー プレスリリースより
9.2023年12月26日付 霞ヶ関キャピタル(株) プレスリリースより
10.2024年1月16日付 大和ハウス工業(株) プレスリリースより
11.2024年1月17日付 (株)相鉄アーバンクリエイツ、 クレド・アセットマネジメント(株) プレスリリースより  
12.2024年1月22日付 ラサール不動産投資顧問(株) プレスリリースより
13.2024年1月22日付 SGリアルティ(株) プレスリリースより


(2)賃料動向

2024年1月の東京圏の募集賃料は4,620円/坪で、前期の4,600円/坪から20円/坪(プラス0.4%)の僅かな上昇となった。
東京圏では需給緩和による賃料下落圧力と建築費の上昇に伴う賃料上昇圧力が拮抗しており、募集賃料は4,600円/坪前後で横ばいとなっている(*14)。

202401_市況_図表3 東京圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

14.2024年2月19日発表の調査レポート(第33回物流施設の不動産市況に関するアンケート調査)参照

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2. 関西圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向
2024年1月の関西圏の空室率は3.0%で、前期の3.7%から0.7ポイントの低下となった。今期(23年11月~24年1月)の新規需要は41.4万㎡となり調査開始以来で過去3番目に高い水準で、堅調なニーズを背景に賃貸市況は良好である(図表4参照)。

関西圏では内陸部を中心に空室消化が進んだうえ、開発物件のリーシングも概ね順調で、今期(23年11月~24年1月)に竣工した物件ではサンケイビルによる「MCUD南吹田」(*15) 、東急不動産による「LOGI’Q南茨木」(*16) 、日本GLPほか2社による「GLP SJL堺」(*17) などの計6棟が新たに竣工し、うち4棟が満室稼働となった。

今後の開発では、日本GLPによる「GLP ALFALINK茨木3」の着工(*18) 、三菱商事都市開発ほか1社による「(仮称)MCUD・ZIPひょうご東条」「(仮称)MCUD・ZIP大阪平野」の着工(*19) 、ラサール不動産投資顧問による「(仮称)兵庫尼崎物流センター」の着工(*20) 、伊藤忠都市開発による「(仮称)アイミッションズパーク寝屋川」の開発(*21) が相次ぎ発表された。


202401_市況_図表4 関西圏の空室率の動向

202401_市況_図表5 関西圏の需給バランスの動向
出所:株式会社一五不動産情報サービス

15.2023年11月30日付 三菱商事都市開発(株)、(株)サンケイビル プレスリリースより
16.2024年1月16日付 東急不動産(株) プレスリリースより
17.2024年2月22日付 日本GLP(株) プレスリリースより
18.2023年11月22日付 日本GLP (株) プレスリリースより
19.2023年12月1日付 三菱商事都市開発(株)、Phoenix Property Investors プレスリリースより
20.2024年1月12日付 ラサール不動産投資顧問(株) プレスリリースより
21.2024年1月31日付 伊藤忠都市開発(株) プレスリリースより


(2)賃料動向
2024年1月の関西圏の募集賃料は4,240円/坪で、前期の4,230円/坪からほぼ横ばいである。
上述の通り、良好な賃貸市況を背景に落ち着いた賃料動向で、目立った変化はみられない。

202401_市況_図表6 関西圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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