物流施設の賃貸マーケットに関する調査(2022年10月時点)

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【東京圏】

・今期(22年10月)の空室率は4.0%で、前期の3.2%から0.8%の上昇となった。2021年1月の0.2%を底に7四半期連続の上昇で、昨年の逼迫した需給環境から1年あまりで均衡した局面に移行した。
・東京圏の募集賃料は4,700円/坪で、前期の4,680円/坪から20円/坪(プラス0.4%)で、ほぼ横ばいである。均衡した需給バランスを背景に、募集賃料は安定している。

【関西圏】

・今期(22年10月)の関西圏の空室率は1.6%で、前期の2.3%から0.7ポイントの下落となった。今期(22年8月~10月)の新規供給は19.1万㎡に対して、新規需要が24.3万㎡で若干上回ったことが、4四半期ぶりの空室率の低下に繋がった。
・関西圏の募集賃料は4,300円/坪で、前期の4,420円/坪から120円/坪(マイナス2.7%)の下落となったが、前期(2022年7月)に大幅に上昇した反動で、関西圏の賃料動向は一進一退で落ち着いている。


1. 東京圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向

2022年10月の東京圏の空室率は4.0%で、前期の3.2%から0.8%の上昇となった。2021年1月の0.2%を底に、7四半期連続の上昇で、昨年の逼迫した需給環境から1年あまりで均衡した局面に移行した(図表1参照)。

具体的にみると、三井不動産による「MFLP東名綾瀬」および「MFLP海老名Ⅰ」(*1) 、CBREインベストメントマネジメント・ジャパンによる「CBRE IM嵐山」(*2) 、プロロジスによる「プロロジスパーク八千代1」(*3) など計17棟が新たに竣工し、うち10棟が満室稼働となった。

今後の開発計画では、大和ハウス工業による「DPL境古河」および「DPL青梅」の着工(*4) 、日本GLPによる「GLP上尾」の着工、「GLP千葉北」の開発(*5)、東京建物による「(仮称)T-LOGIあきる野」の着工(*6)、オリックス不動産による「厚木Ⅲロジスティクスセンター」の着工 (*7)、ESRによる「ESR野田ディストリビューションセンター2」の着工(*8) 、クレド・アセットマネジメントによる「CREDO加須」の開発(*9)などが相次いで発表された。

周知の通り、コロナ禍でのEコマースの急拡大もあって物流施設に対する需要は堅調で、2022年もその流れが持続しているが、堅調な需要を背景とした物流施設の開発ラッシュで空室率は上向いている。今後も需給両面で活発な賃貸市況が続くため、適度に空室があるマーケットに移行する。したがって、引き合いが旺盛で需給が逼迫する地域(物件)が残る一方、空室が長期化する地域(物件)で増えることが予想され、地域や物件次第で市況感の格差がかなり拡大すると弊社では判断している。

202207_市況_図表1 東京圏の空室率の動向

202207_市況_図表2 東京圏の需給バランスの動向
出所:株式会社一五不動産情報サービス

1.2022年8月4日付、9月20日付 三井不動産(株) プレスリリースより
2.2022年10月26日付 CBREインベストメントマネジメント・ジャパン(株) プレスリリースより
3.2022年11月4日付 プロロジス プレスリリースより
4.2022年9月29日付、9月30日付 大和ハウス工業(株) プレスリリースより
5.2022年9月1日付、10月31日付 日本GLP(株) プレスリリースより
6.2022年8月3日付 東京建物(株) プレスリリースより
7.2022年9月2日付 オリックス不動産(株) プレスリリースより
8.2022年8月3日付 ESR(株) プレスリリースより
9.2022年8月17日付 クレド・アセットマネジメント(株) プレスリリースより


(2)賃料動向

2022年10月の東京圏の募集賃料は4,700円/坪で、前期の4,680円/坪から20円/坪(プラス0.4%)で、ほぼ横ばいである。均衡した需給バランスを背景に、募集賃料は安定している。


202207_市況_図表3 東京圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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2. 関西圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向
2022年10月の関西圏の空室率は1.6%で、前期の2.3%から0.7ポイントの下落となった。今期(22年8月~10月)の新規供給は19.1万㎡に対し、新規需要が24.3万㎡で若干上回ったことが、4四半期ぶりの空室率の低下に繋がった(図表4参照)。

具体的にみると大和ハウス工業による「DPL茨木北」(*10) 、センターポイント・ディベロップメントほか2社による「CPD西淀川」(*11) 、TC神鋼不動産による「AS-LOGI神戸Ⅰ」(*12)、サンケイビルによる「SANKEILOGI摂津」(*13) など計6棟が満室で竣工し、既存物件の空室消化が進んだことも空室率の下落に繋がった。

今後の開発では、日本GLPによる「GLP尼崎Ⅳ」および「(仮称)GLP六甲プロジェクト」の着工、日本GLPほか2社による「GLP SJL堺」の開発(*14)、オリックス不動産による「京田辺ロジスティクスセンター」の着工(*15)、東急不動産による「LOGI’Q南茨木」の着工(*16) が発表された。

関西圏では新名神高速道路の延伸の影響もあり、新たな物流エリアが次々と誕生している。臨海部や内陸部の交通の要衝など、古くからの物流適地は依然として高い市場競争力を有する一方、新興の物流エリアの一部ではリーシングに苦戦するケースも散見される。2023年には関西圏でも高水準の新規供給が見込まれることから、東京圏と同様に地域や物件による格差が拡大しやすいと弊社では判断している。


202207_市況_図表4 関西圏の空室率の動向

202207_市況_図表5 関西圏の需給バランスの動向
出所:株式会社一五不動産情報サービス

10.2022年9月7日付 大和ハウス工業(株) プレスリリースより
11.2022年10月5日付 (株)センターポイント・ディベロップメント、三菱HCキャピタル(株)、東京建物(株) プレスリリースより
12.2022年10月5日付 TC神鋼不動産(株) プレスリリースより
13.2022年10月28日付 (株)サンケイビル プレスリリースより
14.2022年8月8日付、9月16日付、10月17日付 日本GLP(株) プレスリリースより
15.2022年8月26日付 オリックス不動産(株) プレスリリースより
16.2022年8月31日付 東急不動産(株) プレスリリースより


(2)賃料動向
2022年10月の関西圏の募集賃料は4,300円/坪で、前期の4,420円/坪から120円/坪(マイナス2.7%)の下落となったが、前期に大幅に上昇した反動で、関西圏の賃料動向は一進一退で落ち着いている。

202207_市況_図表6 関西圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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