物流施設の賃貸マーケットに関する調査(2022年7月時点)

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【東京圏】

・今期(22年7月)の空室率は3.1%で、前期の3.0%から小幅の上昇となった。今期(22年5月~7月)の新規供給は84.0万㎡と比較的高い水準であったが、新規需要も76.8万㎡と堅調で、概ね均衡した需給バランスとなった。
・東京圏の募集賃料は4,680円/坪で、前期の4,650円/坪から30円/坪(プラス0.6%)の上昇となった。東京圏の募集賃料は5四半期連続で上昇しているが、埼玉県や神奈川内陸部など開発が集中する地域では、賃料上昇に勢いはなく上値が重くなっている。

【関西圏】

・今期(22年7月)の空室率は2.2%で、前期の2.0%から0.2ポイントの上昇となった。関西圏の需給バランスは逼迫から均衡へと緩やかに局面が移行している。
・関西圏の募集賃料は4,420円/坪で前期の4,260円/坪から160円/坪(プラス3.8%)の上昇となった。関西圏全体では安定した需給環境を背景に、内陸、臨海エリアともに募集賃料は上昇基調が続いている。


1. 東京圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向

2022年7月の東京圏の空室率は3.1%で、前期の3.0%から小幅の上昇となった。今期(22年5月~7月)の新規供給は84.0万㎡で、前期と同様に比較的高い水準となったが、新規需要も76.8万㎡と堅調で、概ね均衡した需給バランスとなった(図表1参照)。

具体的にみると、野村不動産による「Landport上尾Ⅱ」(*1) 、東京建物による「T-LOGI綾瀬」および「T-LOGI習志野Ⅱ」(*2) 、日本貨物鉄道および三井不動産による「東京レールゲートEAST」(*3) など計17棟が新たに竣工し、うち11棟が満室稼働となった。

今後の開発計画では、シーアールイーによる「ロジスクエア松戸」の着工および「ロジスクエアふじみ野A」の着工(*4) 、中央日本土地建物による「LOGIWITH厚木」の着工 (*5)、三菱地所および日本生命保険による「ロジクロス相模原」の着工 (*6)、クレド・アセットマネジメントによる「CREDO桶川伊奈」の開発 (*7)、三井不動産および芝浦機械による「MFLP座間」の着工(*8) 、日本GLPによる「GLP平塚Ⅱ」および「GLP平塚Ⅲ」の着工 (*9)などが相次いで発表された。

1年半前の2022年1月時点の空室率は0.2%で、当時は既存物件に空室はほとんどなく、開発物件は増えつつあったが、本格的なリーシングに着手する前段階で、ニーズの受け皿に乏しかった。現在、需給バランスが逼迫する地域は臨海部の一部地域に限られ、主な物流エリアでは空室物件が増えつつある。堅調な需要は持続する一方、受け皿となる開発物件も増えていることから、今後は活発な賃貸市場が続きながら、空室率は緩やかに上昇に向かうと弊社では判断している。

202207_市況_図表1 東京圏の空室率の動向

202207_市況_図表2 東京圏の需給バランスの動向
出所:株式会社一五不動産情報サービス

1.2022年5月19日付 野村不動産(株) プレスリリースより
2.2022年7月25日付、8月10日付 東京建物(株) プレスリリースより
3.2022年7月27日付 日本貨物鉄道(株)、三井不動産(株) プレスリリースより
4.2022年5月2日付、7月15日付 (株)シーアールイー プレスリリースより
5.2022年5月30日付 中央日本土地建物(株) プレスリリースより
6.2022年6月1日付 三菱地所(株)、日本生命保険相互会社 プレスリリースより
7.2022年6月9日付 クレド・アセットマネジメント(株) プレスリリースより
8.2022年6月13日付 三井不動産(株)、芝浦機械(株) プレスリリースより
9.2022年6月17日付 日本GLP(株) プレスリリースより


(2)賃料動向

2022年7月の東京圏の募集賃料は4,680円/坪で、前期の4,650円/坪から30円/坪(プラス0.6%)の上昇となった。東京圏の募集賃料は5四半期連続で上昇しているが、埼玉県や神奈川内陸部など開発が集中する地域では賃料上昇に勢いはなく上値が重くなっている。


202207_市況_図表3 東京圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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2. 関西圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向
2022年7月の関西圏の空室率は2.2%で、前期の2.0%から0.2ポイントの上昇となった。関西圏の空室率の上昇は3四半期連続で、需給バランスは逼迫から均衡へと緩やかに局面が移行している(図表4参照)。

具体的にみるとJR西日本不動産開発による「加古川平岡町NKビル」(*10) 、ロジランドによる「LOGI LAND東大阪」(*11) 、プロロジスによる「プロロジスパーク神戸3」(*12) など計5棟が満室で竣工する一方、既存物件でのテナントの入退去が空室率の上昇に繋がった。

今後の開発では、日本GLPによる「GLP八尾Ⅱ」の着工 (*13)、大阪ガス都市開発および三井不動産による「大阪市此花区酉島物流施設」の開発 (*14)、大和ハウス工業による「DPL大阪舞洲」の着工 (*15)、住友商事およびSMFLみらいパートナーズによる「NEWNO・SOSiLA高槻」(*16) 、日本GLPによる「GLP ALFALINK茨木」および「GLP ALFALINK尼崎」の開発 (*17)、霞ヶ関キャピタルによる「LOGI FLAG Fresh 京都Ⅰ」の着工 (*18)、シーアールイーによる「ロジスクエア京田辺」の開発(*19) が相次ぎ発表された。

関西圏では、安定した需給環境を背景に、物流施設の開発計画の発表が相次いでいる。特に内陸部では、土地区画整理事業を活用した大規模な開発が多いことから、開発ラッシュは短期間で収束せず、中期的に物流施設の開発が続くことが見込まれる。


202207_市況_図表4 関西圏の空室率の動向

202207_市況_図表5 関西圏の需給バランスの動向
出所:株式会社一五不動産情報サービス

10.2022年6月9日付 JR西日本不動産開発(株) プレスリリースより
11.2022年6月21日付 (株)ロジランド プレスリリースより
12.2022年6月30日付 プロロジス プレスリリースより
13.2022年5月6日付 日本GLP(株) プレスリリースより
14.2022年5月26日付 大阪ガス都市開発(株)、三井不動産(株) プレスリリースより
15.2022年6月1日付 大和ハウス工業(株) プレスリリースより
16.2022年6月10日付 住友商事(株)、SMFLみらいパートナーズ(株) プレスリリースより
17.2022年6月15日付 日本GLP(株) プレスリリースより
18.2022年7月13日付 霞ヶ関キャピタル(株) プレスリリースより
19.2022年7月22日付 (株)シーアールイー プレスリリースより


(2)賃料動向
2022年7月の関西圏の募集賃料は4,420円/坪で、前期の4,260円/坪から160円/坪(プラス3.8%)の上昇となった。
関西圏の一部地域では、リーシングの長期化で募集賃料を見直す動きはあるものの、関西圏全体では安定した需給環境を背景に、内陸、臨海エリアともに募集賃料は上昇基調が続いている。

202207_市況_図表6 関西圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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