物流施設の賃貸マーケットに関する調査(2021年4月時点)

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【東京圏】

・今期(21年4月)の空室率は0.5%で、前期の0.2%から僅かに上昇したが、逼迫した需給環境が続いている。
・東京圏の募集賃料は4,400円/坪で、前期の4,410円/坪から10円/坪(マイナス0.2%)のわずかな下落で、2020年4月以降は4,400円/坪前後で概ね横ばいである。

【関西圏】

・今期(21年4月)の空室率は1.5%で、前期の2.8%から1.3ポイントの低下となった。今期(21年2月~4月)の新規供給は14.9万㎡に対し新規需要が26.1万㎡とやや堅調で、需給改善に繋がった。
・関西圏の募集賃料は4,000円/坪で前期から横ばいで、やや逼迫した需給環境を背景に臨海部、内陸部とも安定した賃料動向となっている。


1. 東京圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向

 2021年4月の東京圏の空室率は0.5%で、前期の0.2%から僅かに上昇したが、依然として逼迫した需給環境が続いている(図表1参照)。
 具体的にみると、ロジランドによる「LOGILAND加須」(*1)、KICアセット・マネジメントによる「KIC春日部ディストリビューションセンター」(*2)、住友商事による「SOSiLA板橋」(*3)、シーアールイーによる「ロジスクエア三芳Ⅱ」(*4)、ESRによる「ESR川崎夜光ディストリビューションセンター」(*5)など計10棟が新たに竣工し、うち7棟が満室での稼働で、リーシングは概ね順調である。
 今後の開発計画の発表は多く、シーアールイーによる「ロジスクエア松戸」の開発(*6)、日本GLPによる「GLP常総Ⅱ」の着工および「GLP狭山日高Ⅲ」の開発(*7)、プロロジスによる「プロロジスアーバン東京足立2」および「プロロジスパーク八千代1」の着工(*8)、三井不動産による「MFLP東名綾瀬」、「MFLP新木場Ⅰ」、「MFLP新木場Ⅱ」、「MFLP平塚Ⅲ」および「MFLP海老名南」の開発(*9)、ESRによる「ESR川崎浮島ディストリビューションセンター」の着工および「ESR野田ディストリビューションセンター2」の開発(*10)、芝浦機械と三井不動産による神奈川県座間市での共同開発(*11)、野村不動産による「Landport青梅Ⅲ」、「Lanport越谷」、「Landport上尾Ⅰ」、「Landport新座」、「Landport上尾Ⅱ」、「Landport多摩」および「愛甲町愛川町PJ」の開発(*12)、三菱地所と日本生命保険による「相模原市中央区淵野辺プロジェクト」の開発(*13)、伊藤忠商事と伊藤忠都市開発による「アイミッションズパーク加須」の開発(*14)、サンケイビルによる「SANKEILOGI柏の葉」の着工(*15)、センターポイント・ディベロップメントによる「CPD草加」の開発(*16)、KICアセット・マネジメントによる「KIC狭山日高ディストリビューションセンター」の開発(*17)で、計25物件もある。上述の開発計画の多くは従来からの物流適地での開発であることから、当面はリーシングが順調に進みそうだ。

202104_市況_図表1 東京圏の空室率の動向

202104_市況_図表2 東京圏の需給バランスの動向
出所:株式会社一五不動産情報サービス

1.2021年2月15日付 (株)ロジランド プレスリリースより
2.2021年2月26日付 KICアセット・マネジメント(株) プレスリリースより
3.2021年3月1日付 住友商事(株) プレスリリースより
4.2021年3月15日付 (株)シーアールイー プレスリリースより
5.2021年5月11日付 ESR(株) プレスリリースより
6.2021年2月1日付 (株)シーアールイー プレスリリースより
7.2021年2月2日、3月10日付 日本GLP(株) プレスリリースより
8.2021年2月16日、4月9日付 プロロジス プレスリリースより
9.2021年3月4日付 三井不動産(株) プレスリリースより
10.2021年3月5日、3月19日付 ESR(株) プレスリリースより
11.2021年3月18日付 芝浦機械(株) プレスリリースより
12.2021年3月23日付 野村不動産(株) プレスリリースより
13.2021年3月24日付 三菱地所(株)、日本生命保険相互会社 プレスリリースより
14.2021年4月14日付 伊藤忠商事(株)、伊藤忠都市開発(株) プレスリリースより
15.2021年4月15日付 (株)サンケイビル プレスリリースより
16.2021年4月16日付 (株)センターポイント・ディベロップメント プレスリリースより
17.2021年4月26日付 KICアセット・マネジメント(株) プレスリリースより


(2)賃料動向

 2021年4月の東京圏の募集賃料は4,400円/坪で、前期の4,410円/坪から10円/坪(マイナス0.2%)のわずかな下落である。東京圏の募集賃料は、2020年4月以降は4,400円/坪前後で概ね横ばいである。

202104_市況_図表3 東京圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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2. 関西圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向
 2021年4月の関西圏の空室率は1.5%で、前期の2.8%から1.3ポイントの低下となった。今期(21年2月~4月)の新規供給は14.9万㎡に対し、新規需要が26.1万㎡とやや堅調で、需給改善に繋がった(図表4参照)。
 具体的にみると、三井物産都市開発による「久御山町物流センター」(*18)、プロロジスによる「プロロジスパーク神戸5」(*19)など計3棟が満室での竣工となった。
 今後の開発では、野村不動産による「Landport京都南」の開発(*20)、JR西日本不動産開発による「加古川平岡町NKビル」の着工(*21)、ラサール不動産投資顧問による大阪市住之江区の開発用地の取得(*22)、プロロジスによるプロロジスパーク神戸3の着工(*23)、神鋼不動産による大阪府高槻市での開発計画(*24)が発表された。
 2021年に竣工する開発物件のうち約8割が内陸部で、プレリーシングは概ね順調である。また、臨海部の開発物件はBTS型が多いことから、当面は安定した需給環境が続く見通しである。


202104_市況_図表4 関西圏の空室率の動向

202104_市況_図表5 関西圏の需給バランスの動向
出所:株式会社一五不動産情報サービス

18.2021年3月1日付 三井物産都市開発(株) プレスリリースより
19.2021年3月18日付 プロロジス プレスリリースより
20.2021年3月23日付 野村不動産(株) プレスリリースより
21.2021年4月5日付 JR西日本不動産開発(株) プレスリリースより
22.2021年4月14日付 ラサール不動産投資顧問(株) プレスリリースより
23.2021年4月20日付 プロロジス プレスリリースより
24.2021年4月27日付 神鋼不動産(株) プレスリリースより


(2)賃料動向
 2021年4月の関西圏の募集賃料は4,000円/坪で、前期から横ばいとなった。関西圏ではやや逼迫した需給環境を背景に、臨海部、内陸部とも安定した賃料動向で、目立った変化はみられない。

202104_市況_図表6 関西圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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