物流施設の賃貸マーケットに関する調査(2019年1月時点)

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【東京圏】

今期(19年1月)の空室率は3.3%となり、前期の5.3%から2.0ポイントの低下となった。今期(18年11月~19年1月)は新規供給が34.1万㎡に対し、新規需要はその2倍に近い64.8万㎡となり、需給改善が鮮明になった。
東京圏の募集賃料は4,180円/坪で、前期の4,220円/坪から40円/坪(マイナス0.9%)の下落となった。東京圏の募集賃料は4,200円/坪前後で概ね横ばいである。


【関西圏】

今期(19年1月)の空室率は7.1%で、前期の9.6%から2.5ポイントの大幅な低下となった。関西圏の空室率の低下は5四半期連続で、1年以上にわたり需給改善が進んでいる。
関西圏の募集賃料は3,460円/坪となり、前期から横ばいであった。臨海部を含め賃貸市況は落ち着きを取り戻しつつあり、当面は安定した賃料動向が続く見通しである。


東京圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向

2019年1月の東京圏の空室率は3.3%となり、前期の5.3%から2.0ポイントの低下となった(図表1参照)。今期(18年11月~19年1月)は新規供給が34.1万㎡に対し、新規需要はその2倍近い64.8万㎡となり、需給改善が鮮明になった(図表2参照)。
具体的にみると、今期には野村不動産による「Landport青梅Ⅰ」(*1)ほか5棟が竣工したが、その多くが満床での新規稼働で、既存物件のリーシングも順調であったことから、需給改善に繋がった。

竣工前のプレリーシングも順調で、日本貨物鉄道による「東京レールゲートWEST」において鴻池運輸との賃貸借予約契約の締結(*2)、三菱商事都市開発による「MCUD鶴ヶ島」において東京ロジファクトリーと全糖賃貸借契約の締結が発表された(*3)。

今後の開発計画も目白押しで、東急不動産による「LOGI’Q三芳」の着工(*4)、野村不動産による「Landport青梅Ⅱ」の着工(*5)、プロロジスによる「プロロジスパーク海老名2」(*6)と「プロロジスパーク古河プロジェクト」(*7)フェーズ2の開発、住友商事による「SOSiLA海老名」の着工と「SOSiLA板橋」の開発用地取得(*8)、日本GLPによる「GLP八千代Ⅱ」の着工(*9)、新日鉄興和不動産による「LOGIFRONT越谷Ⅱ」の着工(*10)、オリックスによる「岩槻Ⅱロジスティクスセンター」の着工と入居企業の決定(*11)が相次ぎ発表された。

物流セクターは、堅調なニーズが新たな開発を促す好循環が持続している。周知の通り、2019年は過去最大の新規供給となるため今後の空室率は上昇に向かうが、そのスピードは緩やかで需給悪化に陥る懸念は小さいと弊社では判断している。

201807_市況_図表1 東京圏の空室率の動向

201807_市況_図表2 東京圏の需給バランスの動向
出所:株式会社一五不動産情報サービス

1.2018年12月7日付 野村不動産(株) プレスリリースより
2.2018年12月13日付 日本貨物鉄道(株) プレスリリースより
3.2019年1月31日付 三菱商事都市開発(株) プレスリリースより
4.2018年12月4日付 東急不動産(株) プレスリリースより
5.2018年12月7日付 野村不動産(株) プレスリリースより
6.2018年12月11日付 プロロジス プレスリリースより
7.2019年1月22日付 プロロジス プレスリリースより
8.2018年12月20日付 住友商事(株) プレスリリースより
9.2019年1月17日付 日本GLP(株) プレスリリースより
10.2019年1月29日付 新日鉄興和不動産(株) プレスリリースより
11.2019年1月30日付 オリックス(株) プレスリリースより


(2)賃料動向

2019年1月の東京圏の募集賃料は4,180円/坪で、前期の4,220円/坪から40円/坪(マイナス0.9%)の下落となった。東京圏の募集賃料は4,200円/坪前後で概ね横ばいである。

臨海部での賃料動向は総じて堅調で、供給過剰の懸念があった圏央道周辺でも賃料動向は落ち着いていることから、東京圏全体の募集賃料では、大きな変化はみられない。

201807_市況_図表3 東京圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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関西圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向
2019年1月の関西圏の空室率は7.1%となり、前期の9.6%から2.5ポイントの大幅な低下となった。関西圏の空室率の低下は5四半期連続で、1年以上にわたり需給改善が進んでいる(図表4参照)。

具体的にみると、プロロジスによる「プロロジスパーク京田辺」(*12)、関電不動産開発による「茨木物流センター再開発プロジェクト」(*13)など計3棟が竣工したが全て満室稼働であった。また、「ロジポート尼崎」の契約率が50%を突破(*14)するなど、空室期間が長引いていた既存物件の稼働率が向上していることも継続的な需給改善に繋がっている。

今後の開発では、プロロジスによる「プロロジスパーク神戸5」の開発(*15)、新日鉄興和不動産による「LOGIFRONT尼崎Ⅱ」の開発用地の取得が発表された(*16)。

関西圏では2017年から2018年にかけて空室率が高止まりしていたため、新規開発は抑制され、2019年の新規供給は約35万㎡と昨年の半分以下にまで減少する見込みである。関西圏では賃貸市況の改善がさらに進むことが期待できる。


201807_市況_図表4 関西圏の空室率の動向

201807_市況_図表5 関西圏の需給バランスの動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス

12.2019年1月28日付 プロロジス プレスリリースより
13.2019年2月7日付 関電不動産開発(株) プレスリリースより
14.2019年2月5日付 ラサール不動産投資顧問(株) プレスリリースより
15.2018年12月11日付 プロロジス プレスリリースより
16.2019年1月29日付 新日鉄興和不動産(株) プレスリリースより


(2)賃料動向
2019年1月の関西圏の募集賃料は3,460円/坪で、前期から横ばいであった。上述の通り、需給改善が続いており、臨海部を含め賃貸市況は落ち着きを取り戻しつつある。関西圏では当面は安定した賃料動向が続く見通しである。

201807_市況_図表6 関西圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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