物流施設の賃貸マーケットに関する調査(2018年4月時点)

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【東京圏】

今期(18年4月)の空室率は4.7%となり、前期の4.0%から0.7ポイントの上昇となった。今期の新規供給は75.8万㎡で過去最大を更新したが、需要サイドも堅調で安定した需給バランスとなった。
東京圏の募集賃料は4,300円/坪となり、前期の4,200円/坪から100円/坪(プラス2.4%)の上昇となった。東京圏では市場競争力の高い物件が募集賃料を引き上げている。

【関西圏】

今期(18年4月)の空室率は12.3%となり、前期の12.8%から0.5ポイントの低下となった。新規供給は37.6万㎡に対し、新規需要も35.5万㎡となり、2四半期連続で概ね均衡した需給バランスとなった。
関西圏の募集賃料は3,350円/坪となり、前期から横ばいとなった。この1年間の関西圏の募集賃料は3,300円/坪強で概ね安定的に推移している。


東京圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向

2018年4月の東京圏の空室率は4.7%となり、前期の4.0%から0.7ポイントの上昇となった(図表1参照)。今期(18年2月~4月)の新規供給は75.8万㎡で過去最大を更新したが、需要サイドも堅調で安定した需給バランスとなった(図表2参照)。
具体的にみると、日本GLPによる「GLP流山Ⅰ」(*1)、プロロジスによる「プロロジスパーク東松山」(*2)、大和ハウス工業による「DPL流山Ⅰ」(*3)、三菱地所による「ロジクロス習志野」(*4)ほか計12棟が新たに竣工した。また、竣工前のリーシングも順調に進んでおり、伊藤忠商事による「アイミッションズパーク柏2」および「同印西2」が満室になったことが発表された(*5)。

今後の開発では、オリックスによる「蓮田Ⅱロジスティクスセンター」の着工(*6)、日本ロジスティクスファンド投資法人による「白井物流センター」の開発後の取得(*7)、日本GLPによる「GLP新座」の着工(*8)、三菱商事都市開発による「MCUD上尾」の開発用地取得(*9)、清水建設による「S・LOGi新座」の開発(*10)、プロロジスによる「プロロジスパークつくば1-B」の着工(*11)、東京建物による「久喜物流センター」の開発(*12)、ESRによる「ESR野田DC」の開発(*13)、三井不動産による「MFLP船橋Ⅲ/横浜港北/立川立飛」の開発(*14)、センターポイント・ディベロップメントや東急不動産および三菱UFJリースによる「CPD松戸Ⅱ物流センター」の着工(*15)、シーアールイーによる「ロジスクエア上尾」の着工(*16)、東京流通センターによる「物流ビルA棟」の建替え(*17)が相次ぎ発表された。

周知の通り、東京外環自動車道(三郷南IC~高谷JCT)は2018年6月2日に開通し、4つの放射道路(東関東道、常磐道、東北道、関越道)と接続する(*18)。弊社が2016年7月に実施したアンケート調査でも当道路が物流施設開発に最も影響のある道路整備計画となっており(*19)、臨海部の千葉県市川市や船橋市だけでなく、内陸部の埼玉県三郷市や千葉県松戸市でも新規開発が増えている。また、国土交通省による平成30年度道路関係予算概要をみると(*20)、圏央道や外環道などの環状道路の整備に加え、民間施設直結スマートインターチェンジの整備などの施策もある。道路整備計画と物流施設の開発は密接に繋がっており、特に東京圏においてその傾向が顕著である。

201710_市況_図表1 東京圏の空室率の動向

201710_市況_図表2 東京圏の需給バランスの動向
出所:株式会社一五不動産情報サービス

1.2018年3月5日付 日本GLP(株) プレスリリースより
2.2018年3月16日付 プロロジス プレスリリースより
3.2018年3月28日付 大和ハウス工業(株) プレスリリースより
4.2018年3月30日付 三菱地所(株) プレスリリースより
5.2018年3月13日付 伊藤忠商事(株) プレスリリースより
6.2018年2月13日付 オリックス(株) プレスリリースより
7.2018年2月22日付 日本ロジスティクスファンド投資法人 プレスリリースより
8.2018年3月26日付 日本GLP(株) プレスリリースより
9.2018年3月30日付 三菱商事都市開発(株) プレスリリースより
10.2018年3月30日付 清水建設(株) プレスリリースより
11.2018年4月18日付 プロロジス プレスリリースより
12.2018年5月8日付 東京建物(株) プレスリリースより
13.2018年5月17日付 ESR(株) プレスリリースより
14.2018年5月21日付 三井不動産(株) プレスリリースより
15.2018年5月25日付 (株)センターポイント・ディベロップメント、東急不動産(株)、三菱UFJリース(株)より
16.2018年5月25日付 (株)シーアールイー プレスリリースより
17.2018年5月30日付 (株)東京流通センター プレスリリースより
18.2018年3月23日付 国土交通省関東地方整備局 記者発表資料より
19.2018年8月31日付 (株)一五不動産情報サービス 調査レポートより
20.2018年1月23日付 平成30年度道路局関係予算概要(国土交通省道路局/都市局)より


(2)賃料動向

2018年4月の東京圏の募集賃料は4,300円/坪で、前期の4,200円/坪から100円/坪(プラス2.4%)の上昇となった。また、図表3の点線は賃料サンプルの上位10%と下位10%を結んで、賃料のバラ付き具合を示しているが、この2年間で上位10%は6,170円/坪から7,000円/坪と13%上昇したのに対し、下位10%は2,550円/坪から2,700円/坪で6%の上昇に留まっている。東京圏の募集賃料は緩やかに上向いているが、特に、市場競争力のある賃料設定の高い物件が募集賃料を引き上げていることがうかがえる。

201710_市況_図表3 東京圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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関西圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向
2018年4月の関西圏の空室率は12.3%となり、前期の12.8%から0.5ポイントの低下となった(図表4参照)。今期(18年2月~4月)の新規供給は37.6万㎡に対し新規需要は35.5万㎡となり、2四半期連続で概ね均衡した需給バランスとなった。(図表5参照)。
具体的にみると、ラサール不動産投資顧問、三菱地所および三菱UFJリースによる共同開発である「ロジポート大阪大正」が約55%の稼働率で2018年3月(*21)、日本GLPによる丸二倉庫専用のBTS型施設である「GLP寝屋川」が同年4月にそれぞれ竣工した(*22)。
今後の開発では、ESRによる「ESR尼崎ディストリビューションセンター」の着工(*23)、シーアールイーによる「ロジスクエア大阪交野」の開発用地の取得(*24)、プロロジスによる「プロロジスパーク神戸4」の着工(*25)、日本エスコンによる「ひょうご東条インターパーク物流施設」の開発(*26)が相次ぎ発表された。
内陸部では総じてリーシングが順調に進んでおり、安定した需給環境となっている。また、新名神高速道路の開通により、交通の分散による渋滞の減少、所要時間の短縮の効果がみられ(*27)、新名神高速道路周辺の開発を更に促しそうだ。他方、臨海部では空室消化のスピードは依然として緩やかであるが、一部の物件では順調にリーシングが進むケースもでてきており、物件間の格差が拡大する傾向もみられる。


201710_市況_図表4 関西圏の空室率の動向

201710_市況_図表5 関西圏の需給バランスの動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス

14.2018年3月28日付 ラサール不動産投資顧問(株)、三菱地所(株)、三菱UFJリース(株) プレスリリースより
15.2018年5月16日付 日本GLP(株) プレスリリースより
16.2018年3月22日付 ESR(株) プレスリリースより
17.2018年4月6日付 (株)シーアールイー プレスリリースより
18.2018年5月22日付 プロロジス プレスリリースより
19.2018年5月22日付 (株)日本エスコン プレスリリースより
20.2018年4月25日付 西日本高速道路(株) プレスリリースより


(2)賃料動向
2018年4月の関西圏の募集賃料は3,350円/坪で、前期から横ばいとなった。この1年間の関西圏の募集賃料は3,300円/坪強で概ね安定的に推移している。
上述の通り、内陸部の賃料相場は安定した需給環境を背景に底堅く推移する一方、臨海部では2017年以降の大量供給により、需給バランスは緩和基調が続いており、現時点では反転の兆しはあまりみられない。

201710_市況_図表6 関西圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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データ集

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開発物件がひと目で分かる「一五蔵」のご紹介

株式会社一五不動産情報サービスは、賃貸物流施設の開発物件が地図上でひと目で分かる「一五蔵」のサービスを2018年2月21日より開始いたしました(リリースはこちら)。

「一五蔵」の特徴は以下の通りです。

【Point 1】 開発中の大型物流施設がGoogleマップに連動

【Point 2】 物流REITの全物件を一覧表示。Googleマップで確認可能に

【Point 3】 物流施設の賃貸市況予測もお届け(有料会員のみ)

加入プランは無料会員と有料会員をご用意しており、無料会員は以下URLからご利用いただけます。

https://cloud.ichigo-re.co.jp/lp/

本レポートに記載した開発物件も地図上から閲覧できますので、是非ご活用いただければ幸甚です。

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