物流施設の賃貸マーケットに関する調査(2022年1月時点)

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【東京圏】

・今期(22年1月)の空室率は2.5%で、1年前の2021年1月の0.2%を底に4四半期連続の上昇となった。今期(21年11月~22年1月)は新規供給が58.7万㎡で前四半期から半減したが、新規需要も前四半期からの大幅減となる39.1万㎡に留まったため、空室率の上昇に繋がった。
・東京圏の募集賃料は4,620円/坪で、前期の4,580円/坪から40円/坪(プラス0.9%)の上昇となった。東京圏の需給バランスは均衡に向かい、賃料上昇の勢いは、徐々に弱まると考えられる。

【関西圏】

・今期(22年1月)の空室率は1.5%で、前期の1.1%から0.4ポイントの上昇となったが、依然として低水準に留まっている。今期(21年11月~22年1月)の新規供給は25.1万㎡に対して、新規需要が21.0万㎡となり、概ね均衡した需給バランスであった。
・関西圏の募集賃料は4,160円/坪で前期の4,030円/坪から130円/坪(プラス3.2%)の上昇となった。関西圏ではやや逼迫した需給環境を背景に、4千円を上回る水準となっている。


1. 東京圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向

2022年1月の東京圏の空室率は2.5%で、1年前の2021年1月の0.2%を底に4四半期連続での上昇となった。また、今期(21年11月~22年1月)の新規供給が58.7万㎡と前期の120.7万㎡から半減したが、新規需要も前期の109.4万㎡から大幅減となる39.1万㎡に留まったため、空室率の上昇に繋がった(図表1参照)。

具体的にみると、関電不動産開発による「KRD-LOGISTICS八千代」(*1)、三菱地所とENEOS不動産による「ロジクロス船橋」(*2)、住友商事による「SOSiLA八潮」(*3)、大和ハウス工業による「DPL江東深川」(*4)、ESRによる「ESR横浜幸浦ディストリビューションセンター1」(*5)、野村不動産による「Landport上尾Ⅰ」(*6)など計12棟が新たに竣工し、うち7棟が満室稼働となった。

今後の開発では、ESRによる「ESR加須ディストリビューションセンター2」の開発(*7)、日本GLPによる「GLP ALFALINK相模原2」、「GLP ALFALINK相模原4」の着工および「GLP上尾」の開発(*8)、オリックス不動産による「鶴ヶ島Ⅱロジスティクスセンター」の開発および「市川塩浜Ⅱロジスティクスセンター」の着工(*9)、シーアールイーによる「ロジスクエア白井」の着工(*10)、東京流通センターによる「物流ビル新A棟」の着工(*11)、アスコットによる「(仮称)アスコット・プライム・ロジスティクス加須」の開発用地取得(*12)、プロロジスによる「プロロジスパーク古河4」の着工(*13)、日鉄興和不動産による「LOGIFRONT浦安」の着工(*14)などが相次ぎ発表された。

東京圏の直近の空室率は2.5%で依然として低い水準であり、開発物件のプレリーシングも概ね順調に進むなど全般的に需要は堅調だが、大量供給の影響でリーシングに時間を要する物件も散見される。今後も高水準の新規供給が見込まれることから、空室率は緩やかに上昇し、需給バランスは均衡に向かうと考えられる。

202201_市況_図表1 東京圏の空室率の動向

202201_市況_図表2 東京圏の需給バランスの動向
出所:株式会社一五不動産情報サービス

1.2021年12月22日付 関電不動産開発(株) プレスリリースより
2.2021年12月24日付 三菱地所(株)、ENEOS不動産(株) プレスリリースより
3.2022年1月26日付 住友商事(株) プレスリリースより
4.2022年1月31日付 大和ハウス工業(株) プレスリリースより
5.2022年2月7日付 ESR(株) プレスリリースより
6.2022年2月17日付 野村不動産(株) プレスリリースより
7.2021年11月2日付 ESR(株) プレスリリースより
8.2021年11月4日付、12月6日付、2022年1月12日付 日本GLP(株) プレスリリースより
9.2021年11月26日付、12月15日付 オリックス不動産(株) プレスリリースより
10.2021年12月1日付 (株)シーアールイー プレスリリースより
11.2021年12月1日付 (株)東京流通センター プレスリリースより
12.2021年12月16日付 (株)アスコット プレスリリースより
13.2021年12月22日付 プロロジス プレスリリースより
14.2022年1月31日付 日鉄興和不動産(株) プレスリリースより


(2)賃料動向

2022年1月の東京圏の募集賃料は4,620円/坪で、前期の4,580円/坪から40円/坪(プラス0.9%)の上昇となった。上述の通り、東京圏の需給バランスは均衡に向かっていることから、賃料上昇の勢いは、徐々に弱まっていくと考えられる。


[参考] 物流施設の賃料水準の見通しは、2022年2月14日発表の「物流施設の不動産市況に関するアンケート調査」(*15)も併せてご参照ください。

202201_市況_図表3 東京圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

15.https://www.ichigo-re.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/02/20220214_report_questionnaire.pdf

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2. 関西圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向
2022年1月の関西圏の空室率は1.5%で、前期の1.1%から0.4ポイントの上昇となったが、依然として低水準に留まっている。今期(21年8月~10月)の新規供給は25.1万㎡に対して、新規需要が21.0万㎡となり、概ね均衡した需給バランスであった(図表4参照)。

具体的にみると、ラサール不動産投資顧問による「ロジポート神戸西」(*16)、プロロジスによる「プロロジスパーク猪名川1」(*17)など計3棟が新たに竣工し、うち2棟が高稼働での竣工となった。

今後の開発では、シーアールイー、ストラテジック・パートナーズ、山九による大阪市此花区夢洲での共同開発(*18)、三菱地所による「ロジスクエア大阪交野」の着工(*19)、ラサール不動産投資顧問による「(仮称)大阪住之江物流センター」の着工(*20)、ジーエルアールインベストメントとゴールドマン・サックス・グループによる「(仮称)和泉市あゆみ野一丁目プロジェクト」の着工(*21)が発表された。

関西圏では2022年の新規供給は50万㎡程度の落ち着いた水準となる見通しで、テナントが確定したBTS型物流施設の竣工も多いことから、当面は安定した需給環境が見込まれる。


202201_市況_図表4 関西圏の空室率の動向

202201_市況_図表5 関西圏の需給バランスの動向
出所:株式会社一五不動産情報サービス

16.2021年11月24日付 ラサール不動産投資顧問(株) プレスリリースより
17.2021年11月26日付 プロロジス プレスリリースより
18.2021年11月8日付 (株)シーアールイー プレスリリースより
19.2021年11月15日付 三菱地所(株) プレスリリースより
20.2021年12月16日付 ラサール不動産投資顧問(株) プレスリリースより
21.2022年1月27日付 ジーエルアールインベストメント(株) プレスリリースより


(2)賃料動向
2022年1月の関西圏の募集賃料は4,160円/坪で、前期の4,030円/坪から130円/坪(プラス3.2%)の上昇となった。関西圏ではやや逼迫した需給環境を背景に、4千円を上回る水準となっている。

202201_市況_図表6 関西圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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