物流施設の賃貸マーケットに関する調査(2021年7月時点)

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【東京圏】

・今期(21年7月)の空室率は1.3%で、前期の0.5%から0.8ポイントの上昇となり、2020年1月以来1年半ぶりに1%台となったが、依然として需給バランスは逼迫している。
・東京圏の募集賃料は4,470円/坪で、前期の4,400円/坪から70円/坪(プラス1.6%)の上昇となった。東京圏の募集賃料は、一進一退を繰り返しながら、緩やかに上昇している。

【関西圏】

・今期(21年7月)の空室率は1.9%で、前期の1.5%から0.4ポイントの上昇となった。今期(21年5月~7月)の新規供給は53.2万㎡で、2008年7月の調査開始以来で過去2番目の大量供給であったが、新規需要も47.2万㎡と堅調で、空室率の上昇は小幅に留まった。
・関西圏の募集賃料は4,040円/坪で前期の4,000円/坪から40円/坪(プラス1.0%)の上昇となった。やや逼迫した需給環境を背景に3四半期ぶりの上昇となった。


1. 東京圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向

 2021年7月の東京圏の空室率は1.3%で、前期の0.5%から0.8ポイントの上昇となり、2020年1月以来1年半ぶりに1%台となったが、依然として需給バランスは逼迫している(図表1参照)。
 具体的にみると、三井不動産による「MFLP船橋Ⅲ」(*1)、ESRによる「ESR茅ヶ崎ディストリビューションセンター」(*2)、日本自動車ターミナルによる「JMT葛西A棟」(*3)、小田急不動産による「小田急不動産ロジスティクスセンター印西」(*4)、日本GLPによる「GLP北本」および「GLP常総」(*5)、清水建設による「S・LOGI新座East2」(*6)、ラサール不動産投資顧問とNIPPOによる「ロジポート加須」(*7)など計15棟が新たに竣工し、うち10棟が満室での稼働で、リーシングは概ね順調である。
 今後の開発計画の発表も非常に多く、三菱商事都市開発による千葉県野田市の開発用地の取得(*8)、プロロジスによる「プロロジスアーバン東京大田1」の開発(*9)、三井不動産による「MFLP海老名Ⅰ」の着工(*10)、大和ハウス工業による「DPL新横浜Ⅱ」、「DPLつくば阿見Ⅱ」および「DPL久喜宮代」の着工(*11)、日本GLPによる「GLP ALFALINK 流山5&6」および「GLP ALFALINK相模原Ⅱ」の着工(*12)、シーアールイーによる「ロジスクエアふじみ野」の開発(*13)、東急不動産による「LOGI’Q南砂町」の着工(*14)、ESRによる「ESR横浜幸浦ディストリビューションセンター2」の着工(*15)、野村不動産による「Landport多摩」の着工(*16)、新日鉄興和不動産による東京都板橋区の開発用地の取得(*17)、産業ファンド投資法人による「IIF厚木ロジスティクスセンターⅢ」の再開発(*18)、大成有楽不動産による「LOGIMINAL柏沼南」および「LOGIMINAL柏」の開発(*19)が発表された。東京圏では、開発物件のプレリーシングが概ね順調であるが、新規開発が多い埼玉県の一部地域などでは、リーシングに時間を要する事例も散見される。コロナ禍での特需が一巡し、賃貸市況は緩やかに正常化に向かっている。

202107_市況_図表1 東京圏の空室率の動向

202107_市況_図表2 東京圏の需給バランスの動向
出所:株式会社一五不動産情報サービス

1.2021年6月30日付 三井不動産(株) プレスリリースより
2.2021年7月6日付 ESR(株) プレスリリースより
3.2021年7月13日付 日本自動車ターミナル(株) プレスリリースより
4.2021年7月15日付 小田急不動産(株)シーアールイー プレスリリースより
5.2021年7月21日付、8月5日付 日本GLP(株) プレスリリースより
6.2021年7月27日付 清水建設(株) プレスリリースより
7.2021年8月2日付 ラサール不動産投資顧問(株)、(株)NIPPO プレスリリースより
8.2021年5月10日付 三菱商事都市開発(株) プレスリリースより
9.2021年5月11日付 プロロジス プレスリリースより
10.2021年5月12日付 三井不動産(株) プレスリリースより
11.2021年5月13日付、7月9日付、7月12日付 大和ハウス工業(株) プレスリリースより
12.2021年5月13日付、6月22日付 日本GLP(株) プレスリリースより
13.2021年5月24日付 (株)シーアールイー プレスリリースより
14.2021年5月31日付 東急不動産(株) プレスリリースより
15.2021年6月14日付 ESR(株) プレスリリースより
16.2021年6月21日付 野村不動産(株) プレスリリースより
17.2021年7月1日付 日鉄興和不動産(株) プレスリリースより
18.2021年7月7日付 産業ファンド投資法人 プレスリリースより
19.2021年7月30日付 大成有楽不動産(株) プレスリリースより


(2)賃料動向

 2021年7月の東京圏の募集賃料は4,470円/坪で、前期の4,400円/坪から70円/坪(プラス1.6%)の上昇となった。東京圏の募集賃料は、一進一退を繰り返しながら、緩やかに上昇している。

202107_市況_図表3 東京圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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2. 関西圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向
 2021年7月の関西圏の空室率は1.9%で、前期の1.5%から0.4ポイントの上昇となった。今期(21年5月~7月)の新規供給は53.2万㎡で、2008年7月の調査開始以来で過去2番目の大量供給であったが、新規需要も47.2万㎡と堅調で、空室率の上昇は小幅に留まった(図表4参照)。
 具体的にみると、住友商事による「SOSiLA大阪」および「SOSiLA尼崎」(*20)、阪急阪神不動産と三菱地所による「ロジスタ・ロジクロス茨木彩都A棟・B棟」(*21)、日本GLPによる「GLP尼崎Ⅲ」(*22)、センターポイント・ディベロップメント、東急不動産および三菱HCキャピタルによる「CPD枚方」(*23)、伊藤忠商事、伊藤忠都市開発およびサンケイビルによる「箕面森町物流施設」(*24)など計10棟が新たに竣工し、うち7棟が満室での竣工となった。
 今後の開発では、三菱商事都市開発による「MCUD神戸西」の開発および兵庫県神戸市西区の開発用地の取得(*25)、ロジランドによる「LOGI LAND東大阪」の開発(*26)、日本GLPによる大阪市東住吉区における開発事業、「GLP ALFALINK 茨木」および「GLP八尾Ⅰ・Ⅱ」の開発(*27)、ジーエルアールインベストとゴールドマン・サックスグループによる神戸市須磨区での開発計画の着工(*28)、センターポイント・ディベロップメントによる「CPD西淀川」の着工(*29)が発表された。関西圏でも開発物件のプレリーシングは概ね順調で、大半の既存物件も高稼働を維持していることから、今後も安定した需給環境が続く見通しである。


202107_市況_図表4 関西圏の空室率の動向

202107_市況_図表5 関西圏の需給バランスの動向
出所:株式会社一五不動産情報サービス

20.2021年5月31日付 住友商事(株) プレスリリースより
21.2021年6月1日付 阪急阪神不動産(株)、三菱地所(株) プレスリリースより
22.2021年6月2日付 日本GLP(株) プレスリリースより
23.2021年7月13日付 (株)センターポイント・ディベロップメント、東急不動産(株)、三菱HCキャピタル(株) プレスリリースより
24.2021年7月26日付 伊藤忠商事(株)、伊藤忠都市開発(株)、(株)サンケイビル プレスリリースより
25.2021年5月10日付 三菱商事都市開発(株) プレスリリースより
26.2021年5月14日付 (株)ロジランド プレスリリースより
27.2021年5月31日付、6月14日付、6月15日付 日本GLP(株) プレスリリースより
28.2021年6月17日付 ジーエルアール・インベストメント(株) プレスリリースより
29.2021年7月26日付 (株)センターポイント・ディベロップメント プレスリリースより


(2)賃料動向
 2021年7月の関西圏の募集賃料は4,040円/坪で、前期の4,000円/坪から40円/坪(プラス1.0%)の上昇となった。関西圏ではやや逼迫した需給環境を背景に、3四半期ぶりの上昇となった。

202107_市況_図表6 関西圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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