第25回物流施設の不動産市況に関するアンケート調査

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【不動産価格の見通し】
 半年後の不動産価格の見通しは「横ばい」が54.9%、「上昇」が45.1%で、「下落」の回答者はいなかった。前回調査で「上昇」の回答構成比が4割近くまで増加したが、本調査ではさらに増えた。不動産価格はさらなる高値を模索する展開となっている。

【賃料水準の見通し】
 半年後の賃料の見通しは「横ばい」が51.2%、「上昇」が48.8%で拮抗する一方、「下落」の回答者がゼロとなった。「上昇」の回答構成比は2017年7月の4.9%を底に5回連続で増加し、5割近い水準に達している。「上昇」の回答構成比が5割前後となるのは2014年~2015年以来で、賃料水準は楽観的な見通しが支配的になっている。

1. 物流施設の不動産価格の見通し

 物流施設の不動産市況について、半年毎のアンケート調査を実施した。なお、本アンケートは1月24日(金)から同月31日(金)にかけて実施した。日本経済新聞(朝刊)で新型コロナウィルスに関する記事が一面になったのはアンケート開始日の1月24日(金)で、このニュースが各種媒体を席巻し、広く認知されはじめた時期に並行して回収されたアンケート結果となる。参考までに、新型コロナウィルスに関する弊社の見解は、同日発表の調査レポート(こちら)の6ページにまとめた。

 物流施設の不動産価格について半年後の見通しを設問した(図表1参照)。本調査(20年1月)では「横ばい」が54.9%、「上昇」が45.1%となり、「下落」の回答者はいなかった。アンケートの回答傾向は2017年1月から2019年1月までの2年間に大きな変化はみられなかったが、前回調査で「上昇」の回答構成比が4割近くまで増え、本調査ではさらに増加した。不動産価格はさらなる高値を模索する展開となっている。



図表1 物流施設の不動産価格の見通し(半年後)
図表1 物流施設の不動産価格の見通し(半年後)

出所:株式会社一五不動産情報サービス


 半年後の物流施設の不動産価格の見通しについて、それぞれの理由を確認する(図表2参照)。

 上昇理由では「物流施設への活発な投資が続くため」が33回答で最多となり、次いで「物流施設へ投資するプレイヤーが更に増え、物件獲得競争が激化するため」が27回答で上昇理由の上位二つは不変である。また、「物流施設の賃料水準が上昇するため」が18回答となり、前回調査の11回答、前々回調査の5回答から増え続けている。物流施設の収益性がさらに高まっていることが、不動産価格の上昇に繋がっている。そのほか、「良好な資金調達環境が続くため」が15回答、「物流施設の建築費が上昇するため」が8回答となっている。

 横ばいの理由では「キャップレートの更なる低下が見込みづらいため」が26回答で、「賃料水準の見通しに大きな変化がないため」が18回答、「不動産投資市場が過熱感し、高値掴みへの警戒感から、投資を控えるプレイヤーが増えるため」が13回答、「不動産価格が上昇局面から踊り場に移行するため」が9回答となった。横ばいの理由では前回調査から大きな変化はみられず、低金利が長く続き、キャップレートもこれ以上の低下は期待できないという意見が大勢である。



図表2 上昇・横ばい・下落理由
図表2 上昇・横ばい・下落理由

出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:複数回答可で設問。また、左軸上の文章は、読みやすくするため、一部省略している。文章(全文)は、PDF末尾の回答用紙を参照。


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2. 物流施設の賃料水準の見通し

次に、物流施設の賃料水準について半年後の見通しを設問した(図表3参照)。

 本調査(20年1月)では「横ばい」が51.2%、「上昇」が48.8%で拮抗する一方、「下落」の回答者がゼロとなった。「上昇」の回答構成比は2017年7月の4.9%を底に5回連続で増加し、5割近い水準に達している。「上昇」の回答構成比が5割前後となるのは2014年~2015年以来で、賃料水準は楽観的な見通しが支配的になっている。



図表3 物流施設の賃料水準の見直し(半年後)
図表3 物流施設の賃料水準の見通し(半年後)

出所:株式会社一五不動産情報サービス


 半年後の賃料水準の見通しについて、それぞれの理由を確認する(図表4参照)。

 上昇理由では「Eコマースが需要をさらに牽引するため」と「土地価格や建築費などの開発コストが上昇し、その分の賃料転嫁が進むため」がそれぞれ25回答、「雇用面で優位性のある高機能型物流施設に対するニーズが高まるため」が19回答となっている。また、「飲食料品・日用雑貨・医薬品など、幅広い業種で需要拡大が期待できるため」が18回答で、前回調査の10回答から増えている。Eコマースが需要を牽引している点は不変だが、幅広い業種での需要拡大が楽観的な賃料水準の見通しに繋がっている。

横ばいの理由は「新規開発による供給増と物流ニーズの増加が均衡するため」が25回答、「荷主および物流会社の賃料負担力に変化がないため」が21回答で上位二つは不変である。また、「最近の賃料上昇で、上げ止まりの兆しがみられるため」と「安定した物価動向が続くため」がそれぞれ8回答で続いている。


図表4 上昇・横ばい・下落理由
図表4 上昇・横ばい下落理由

出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:複数回答可で設問。また、左軸上の文章は、読みやすくするため、一部省略している。文章(全文)は、PDF末尾の回答用紙を参照。


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3. 業況判断DI

 不動産市況のサイクルを把握することを主眼として、不動産価格と賃料水準について業況判断DIを算出した(図表5参照)。

 本調査(20年1月)における不動産価格の業況判断DIは45.1ポイントで、前回調査の38.0ポイントから7.1ポイントの上昇となった。また、賃料水準の業況判断DIは48.8ポイントで、前回の37.0ポイントから18.3ポイントの大幅な上昇となり、不動産価格の業況判断DIを上回った。

 物流セクターは需給逼迫を背景に賃料上昇が続いている。キャップレートのさらなる低下は見込みにくいが、賃料上昇による収益性の向上が不動産価格の楽観的な見通しを下支えしている。


図表5 本アンケートの業況判断DI
図表5 本アンケートの業況判断DI

出所:株式会社一五不動産情報サービス
作成方法:日銀短観の業況判断D.I.を参考に、下式にて算出。
業況判断D.I.=「上昇」の回答者構成比-「下落」の回答者構成比

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4. 投資対象として関心がある産業用不動産

 物流施設を組み入れているJリートは17銘柄があるが、総合型リートは7銘柄のみで、残りは物流施設を主な投資対象とするリートであるが、物件獲得競争が激化する市場環境下において、投資方針を見直し投資対象を拡充する動きがみられる。そこで、本アンケートでは投資対象として関心がある産業用不動産に関して設問した(図表6参照)。


図表6 投資対象として関心がある産業用不動産

図表6 投資対象として関心がある産業用不動産

出所:株式会社一五不動産情報サービス


 データセンターが60回答で圧倒的に多く、インフラ施設(鉄道・空港施設など)が24回答、工場(食品加工工場など)が24回答、研究所が17回答で続いている。データセンターはセキュリティの観点から、新規開設や増設がニュースになりにくいが、物流エリアやその近郊でデータセンターの「建築計画のお知らせ」看板を目にする機会が増えている。また、深層学習やブロックチェーンなどの技術革新によるデータセンターへの需要増が期待できるとの思惑もある。物流施設の不動産投資市場がEコマースを牽引役に市場拡大した経緯もあり、物流施設などで投資実績を蓄積したプレイヤーが、共通点の多い投資対象としてデータセンターの市場開拓を狙っていることが伺える。

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■アンケート調査の概要、回答用紙につきましては、PDF末尾をご参照ください。

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