物流施設の賃貸マーケットに関する調査(2018年7月時点)

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【東京圏】

今期(18年7月)の空室率は4.8%となり、前期の4.7%から0.1ポイントの僅かな上昇となった。今期(18年5月~7月)の新規供給は43.9万㎡に対し新規需要が40.8万㎡で、概ね均衡した需給バランスである。
東京圏の募集賃料は4,260円/坪となり、前期の4,300円/坪から40円/坪(マイナス0.9%)の微減となった。募集賃料の推移では目立った動きはみられないが、募集物件数は減少しており、特に、東京都や神奈川県の臨海部でその傾向が顕著である。


【関西圏】

今期(18年7月)の空室率は11.6%となり、前期の12.3%から0.7ポイントの低下となった。今期の新規供給はなかったが、新規需要が3.7万㎡となり、3四半期連続で需給改善となった。
関西圏の募集賃料は3,400円/坪となり、前期の3,350円/坪から50円/坪(プラス1.5%)の上昇となった。


東京圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向

2018年7月の東京圏の空室率は4.8%となり、前期の4.7%から0.1ポイントの僅かな上昇となった(図表1参照)。また、今期(18年5月~7月)の新規供給は43.9万㎡に対し、新規需要が40.8万㎡で、概ね均衡した需給バランスとなった(図表2参照)。
具体的にみると、三菱商事都市開発による「MCUD川崎Ⅰ(増築)」(*1)、日本GLPによる「GLP流山Ⅱ」(*2)、日本自動車ターミナルによる「ダイナベース」(*3)、シーアールイーによる「ロジスクエア春日部」(*4)、住友商事による「SOSiLA相模原」(*5)、オリックスによる「厚木Ⅱロジスティクスセンター」(*6)ほか計9棟が新たに竣工し、うち6棟が満室稼働となった。また、竣工前のリーシングも順調に進んでおり、グッドマンジャパンによる「グッドマンビジネスパークステージ3」においてセンコーとの賃貸借契約の締結が発表された(*7)。

今後の開発では、三井物産都市開発による「藤沢市桐原町物流センター」の着工(*8)、日本ロジスティクスファンド投資法人による「戸田物流センター」の取得(*9)、住友商事による「SOSiLA海老名」の開発(*10)、東急不動産による「LOGI’Q白岡」の着工(*11)、三井不動産による「市川塩浜物流施設計画」(*12)、ラサール不動産投資顧問による「新守谷物流センター」の着工(*13)、新日鉄興和不動産による「LOGIFRONT越谷Ⅱ」の開発(*14)、シーアールイーによる「ロジスクエア川越Ⅱ」の着工(*15)、日本GLPによる「GLP八千代Ⅱ」の開発(*16)が相次ぎ発表された。東京圏では2018年の新規供給は約210万㎡で過去最大の見通しで、2019年は2018年を上回る280万㎡近い水準まで拡大する勢いがある。物流ニーズが堅調であるが、それを上回る開発ボリュームで、空室率は緩やかに上昇に向かうと弊社では予測している。

201807_市況_図表1 東京圏の空室率の動向

201807_市況_図表2 東京圏の需給バランスの動向
出所:株式会社一五不動産情報サービス

1.2018年5月31日付 三菱商事都市開発(株) プレスリリースより
2.2018年6月12日付・7月17日付 日本GLP(株) プレスリリースより
3.2018年6月28日付・7月24日付 日本自動車ターミナル(株) プレスリリースより
4.2018年6月29日付 (株)シーアールイー プレスリリースより
5.2018年7月12日付 住友商事(株) プレスリリースより
6.2018年7月31日付 オリックス(株) プレスリリースより
7.2018年7月12日付 グッドマンジャパン(株) プレスリリースより
8.2018年6月14日付 三井物産都市開発(株) プレスリリースより
9.2018年6月21日付 日本ロジスティクスファンド投資法人 プレスリリースより
10.2018年7月12日付 住友商事(株) プレスリリースより
11.2018年7月30日付 東急不動産(株) プレスリリースより
12.2018年8月6日付 三井不動産(株) プレスリリースより
13.2018年8月7日付 ラサール不動産投資顧問(株) プレスリリースより
14.2018年8月8日付 新日鉄興和不動産(株) プレスリリースより
15.2018年8月16日付 (株)シーアールイー プレスリリースより
16.2018年8月20日付 日本GLP(株) プレスリリースより


(2)賃料動向

2018年7月の東京圏の募集賃料は4,260円/坪で、前期の4,300円/坪から40円/坪(マイナス0.9%)の下落となった。募集賃料(中央値)の推移では目立った動きみられないが、図表3においてNで示した募集物件数は減少しており、特に、東京都や神奈川県の臨海部でその傾向が顕著である。この数年間で賃料が割高な臨海部の募集物件が減少する一方、内陸部の募集物件数はあまり変わっていない。募集賃料(中央値)の上昇は緩やかペースに留まっているが、実勢の賃料相場は臨海部を中心に堅調である。

201807_市況_図表3 東京圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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関西圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向
2018年7月の関西圏の空室率は11.6%となり、前期の12.3%から0.7ポイントの低下となった(図表4参照)。今期(18年5月~7月)の新規供給はなかったが、新規需要が3.7万㎡となり、3四半期連続での需給改善となった(図表5参照)。また、竣工前のリーシングも順調に進んでおり、日本GLPによる「GLP枚方Ⅲ」において楽天との賃貸借契約の締結が発表された(*17)。
今後の開発では、日本GLPによる「GLP六甲Ⅲ」の開発・着工(*18)、東急不動産による「LOGI’Q枚方」の着工(*19)、オリックスによる「枚方Ⅱロジスティクスセンター」の開発(*20)、新日鉄興和不動産による「LOGIFRONT尼崎」の開発(*21)が相次ぎ発表された。
関西圏では臨海部の賃貸市況に注目が集まりやすいが、空室物件の稼働率は緩やかだが確実に上向いている。延床面積38.8万㎡のESR尼崎ディストリビューションセンターの竣工が2020年3月に控えることもあり、本格的な回復にはもうしばらく時間がかかりそうだが、以前のような悲観論一色の賃貸市場ではなくなりつつある。


201807_市況_図表4 関西圏の空室率の動向

201807_市況_図表5 関西圏の需給バランスの動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス

17.2018年7月17日付 日本GLP(株) プレスリリースより
18.2018年7月30日付・8月29日付 日本GLP(株) プレスリリースより
19.2018年7月30日付 東急不動産(株) プレスリリースより
20.2018年7月31日付 オリックス(株) プレスリリースより
21.2018年8月8日付 新日鉄興和不動産(株) プレスリリースより


(2)賃料動向
2018年7月の関西圏の募集賃料は3,400円/坪で、前期の3,350円/坪から50円/坪(プラス1.5%)の上昇となった。関西圏では内陸部の賃料相場は安定した需給環境を背景に底堅い推移であるが、臨海部では賃貸市況の本格的な回復に時間がかかり、もうしばらくは低位安定した賃料動向が続きそうだ。

201807_市況_図表6 関西圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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データ集

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開発物件がひと目で分かる「一五蔵」のご紹介

株式会社一五不動産情報サービスは、賃貸物流施設の開発物件が地図上でひと目で分かる「一五蔵」のサービスを2018年2月21日より開始いたしました(リリースはこちら)。

「一五蔵」の特徴は以下の通りです。

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本レポートに記載した開発物件も地図上から閲覧できますので、是非ご活用いただければ幸甚です。

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