物流施設の賃貸マーケットに関する調査(2018年1月時点)

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【東京圏】

今期(18年1月)の空室率は4.0%となり、前期の5.2%から1.2ポイントの低下となった。今期の新規供給は30.0万㎡に対し、新規需要は46.3万㎡で前期の19.9万㎡から2倍強と堅調であったことが需給改善に繋がった。
東京圏の募集賃料は4,200円/坪で前期から横ばいであった。募集賃料の動向は東京圏全体では安定しているが、地域間格差は拡大傾向にある。

【関西圏】

今期(18年1月)の空室率は12.8%となり、前期の12.9%から0.1ポイントの低下となった。新規供給は7.5万㎡で、前期の68.8万㎡から大幅に減少したが、新規需要も7.5万㎡と低い水準に留まったため、空室率は高止まりしている。
関西圏の募集賃料は3,350円/坪となり前期から横ばいであった。関西圏の募集賃料は2016年10月の3,470円/坪をピークに下落しはじめ、2017年4月以降は3,300円/坪強で概ね横ばいである。


東京圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向

2018年1月の東京圏の空室率は4.0%となり、前期の5.2%から1.2ポイントの低下となった(図表1参照)。今期(17年11月~18年1月)の新規供給は30.0万㎡に対し、新規需要が46.3万㎡で前期の19.9万㎡から2倍強と大幅に増加したことが需給改善に繋がった。(図表2参照)。
具体的にみると、プロロジスによる「プロロジスパーク市川3」(*1)、三菱商事都市開発による「MCUD座間」(*2)ほか計6棟が新たに竣工した。また、既存施設でも堅調なニーズがみられ、シーアールイーによる「ロジスクエア守谷」(*3)、日本GLPによる「GLP柏Ⅱ」(*4)などが満室となった。

東京圏では引き続き新規開発が盛んで、プロロジスによる「プロロジスパークつくば1-B」の開発(*5)、新日鉄興和不動産による「LOGIFRONT越谷Ⅰ」の着工(*6)、シーアールイーによる三芳町、川越市および飯能市での開発用地取得と「ロジスクエア上尾」の開発着手(*7)、大和ハウス工業による「DPL坂戸」の着工(*8)、オリックスによる「蓮田Ⅱロジスティクスセンター」の着工(*9)、三菱商事都市開発による「MCUD八千代」の開発用地取得(*10)、三井物産都市開発による「板橋区新河岸1丁目物流センター」の着工(*11)、ラサール不動産投資顧問、三菱地所およびNIPPOによる「ロジポート川崎ベイ」の着工(*12)などが相次いで発表された。そのほか、プレリーシングが順調な案件も多くみられ、日本GLPによる「GLP新座」は第一倉庫冷蔵と賃貸借予約契約を締結した(*13)。

東京圏では2018年に約240万㎡の新規供給が見込まれ、うち埼玉県が約70万㎡、千葉県が約100万㎡となり両県で約7割を占めている。東京圏では堅調な需要が続いているが、内陸部を中心に需要を上回る供給となる見通しで、今後の空室率は緩やかに上昇に向かうと考えられる。

201710_市況_図表1 東京圏の空室率の動向

201710_市況_図表2 東京圏の需給バランスの動向
出所:株式会社一五不動産情報サービス

1.2018年1月11日付 プロロジス プレスリリースより
2.2018年1月15日付 三菱商事都市開発(株) プレスリリースより
3.2017年11月28日付 (株)シーアールイー プレスリリースより
4.2018年2月27日付 GLP News Releaseより
5.2017年12月20日付 プロロジス プレスリリースより
6.2017年11月30日付 新日鉄興和不動産(株) プレスリリースより
7.2017年12月5日、28日、2018年1月31日、2月22日付 (株)シーアールイー プレスリリースより
8.2017年12月18日付 大和ハウス工業(株) プレスリリースより
9.2018年2月13日付 オリックス(株) プレスリリースより
10.2017年12月26日付 三菱商事都市開発(株) プレスリリースより
11.2018年1月5日付 三井物産都市開発(株) プレスリリースより
12.2017年12月15日付 ラサール不動産投資顧問(株)、三菱地所(株)、(株)NIPPO プレスリリースより
13.2018年2月1日付 日本GLP(株) プレスリリースより


(2)賃料動向

2018年1月の東京圏の募集賃料は4,200円/坪で、前期から横ばいであった。募集賃料の動向は東京圏全体では安定しているが、地域間格差は拡大傾向にある。

201710_市況_図表3 東京圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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関西圏の賃貸マーケット動向

(1)需給動向
2018年1月の関西圏の空室率は12.8%となり、前期の12.9%から0.1ポイントの低下となった(図表4参照)。今期(17年11月~18年1月)の新規供給は7.5万㎡で、前期の68.8万㎡から大幅に減少したが、新規需要も7.5万㎡と低い水準に留まったため、空室率は高止まりしている(図表4,5参照)。
具体的にみると、三井物産都市開発による「大東新田西町物流センター」(*14)、日本GLPによる「GLP神戸西Ⅱ」(*15)が竣工した。また、「Landport高槻」が満床に至るなど内陸部では堅調なニーズがみられた。今後の開発では、ラサール不動産投資顧問、NIPPO、三菱UFJリースによるロンコ・ジャパン向けの専用センターである「プロフィットマート堺」の着工(*16)、東急不動産による「LOGI’Q枚方」の開発計画(*17)が発表された。また、プレリーシングも進んでおり、「プロロジスパーク京田辺」に丸紅ロジスティクスが入居することが発表された(*18)。
内陸部では総じてリーシングが順調で、安定した需給環境が続く見通しである。堅調なニーズを背景に、新名神高速道路や第二京阪道路周辺では複数の区画整理や産業団地の造成も行われており、今後も新規開発が増えそうだ。他方、湾岸部では空室消化のスピードは緩やかで、2018年もマルチテナント型物流施設の竣工が相次ぐことから、当面は需給緩和局面が続くと考えられる。


201710_市況_図表4 関西圏の空室率の動向

201710_市況_図表5 関西圏の需給バランスの動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス

14.2017年12月26日付 三井物産都市開発(株) プレスリリースより
15.2018年1月25日付 日本GLP(株) プレスリリースより
16.2017年12月13日付 ラサール不動産投資顧問(株)、(株)NIPPO、三菱UFJリース(株) プレスリリースより
17.2017年12月8日付 東急不動産(株) プレスリリースより
18.2017年12月20日付 プロロジス プレスリリースより


(2)賃料動向
2018年1月の関西圏の募集賃料は3,350円/坪で、前期から横ばいであった。関西圏の募集賃料は2016年10月の3,470円/坪をピークに下落しはじめ、2017年4月以降は3,300円/坪強で概ね横ばいである。
上述の通り、内陸部はリーシングも比較的順調で、賃料相場も落ち着いている。他方、湾岸部では物件毎の格差が拡大傾向にあり、競合物件との差別化が難しいケースでは賃料水準は弱含みである。

201710_市況_図表6 関西圏の募集賃料の動向 出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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