物流施設の賃貸マーケットに関する調査(2014年7月時点)

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【東京圏】

空室率は4.0%となり、前期の3.9%から僅かに上昇。今期の新規供給は3.9万㎡で、6四半期ぶりに5万㎡を下回る。また、今期の募集賃料は3,990円/坪で前期から横ばい。

【大阪圏】

空室率は0.4%となり、前期の0.3%から僅かに上昇。大阪圏では逼迫した需給環境を背景に、新規開発の動きが続く。また、今期の募集賃料は3,300円/坪で、前期の3,240円/坪から60円/坪(プラス1.9%)の上昇。

東京圏の賃貸マーケット動向


(1)需給動向

 2014年7月の東京圏の空室率は4.0%となり、前期(14年4月)の3.9%から0.1ポイントと僅かに上昇した(図表1参照)。今期(14年5月~7月)は新規供給が3.9万㎡で、6四半期ぶりに5万㎡を下回り、新規需要も2.6万㎡と低水準に留まった(図表2参照)。

 具体的にみると、埼玉県内で2棟の新規供給があり、うちひとつは伊藤忠ロジスティクス向けの専用センターである(*1)。2014年の新規供給は上半期に集中しており、下半期は限定的であることから、当面は安定した需給環境となる見通しである。

 今後の開発計画では、シーアールイーが「ロジスクエア久喜」の開発プロジェクトの始動(*2)、GLPは日本ロジテム専用の「GLP吉見」の開発計画(*3)と「GLP八千代」の起工式(*4)、プロロジスは「プロロジスパーク吉見」の起工式(*5)をそれぞれ発表した。

 従前に発表された開発計画も、予定通りに着工するケースが多く、昨年のように開発計画の遅延が相次ぐ事態に陥っていないことから、2015年の新規供給は高水準になりそうだ。


20140530_市況_図1東京圏の空室率の動向

20140530_市況_図2東京圏の需給バランスの動向

出所:株式会社一五不動産情報サービス


1.2014年8月6日付 伊藤忠ロジスティクス(株)プレスリリースより
2.2014年6月10日付 (株)シーアールイー プレスリリースより
3.2014年6月18日付 グローバル・ロジスティック・プロパティーズ(株) プレスリリースより
4.2014年8月6日付 グローバル・ロジスティック・プロパティーズ(株) プレスリリースより
5.2014年7月31日付 プロロジス プレスリリースより


(2)賃料動向

 2014年7月の東京圏の募集賃料は3,990円/坪で、2四半期連続で横ばいであった。上述の通り、安定した需給環境を背景に、募集賃料は横ばい基調である。空室在庫を集計対象とする当賃料指標では、上値が重い展開である。

20140530_市況_図3東京圏の募集賃料の動向

出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。

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大阪圏の賃貸マーケット動向


(1)需給動向

 2014年7月の大阪圏の空室率は0.4%となり、前期(14年4月)の0.3%から僅かに上昇した(図表4参照)。今期(14年5月~7月)の新規供給は8.8万㎡に対し、新規需要は8.4万㎡で概ね均衡した需給バランスであった(図表5参照)。

 具体的にみると、2014年6月に「SGリアルティ舞洲」の竣工(*6)など新たな動きもあったが、空室在庫は乏しいままで、開発物件のプレリーシングに繋がっているようだ。

 大阪圏では逼迫した需給環境を背景に新規開発の動きが活発で、GLPは「GLP鳴尾浜」の起工式(*7)、オリックスは大阪府枚方市での物流施設開発の決定(*8)をそれぞれ発表した。また、流通センターおよびトラックターミナルを運営する大阪府都市開発(株)は、2014年7月1日付で南海電気鉄道(株)の子会社となり、社名も泉北高速鉄道(株)に変更した。南海電気鉄道(株)は物流不動産分野を「市場性豊かな」と表現しており(*9)、今後の動きが注目される。


20140530_市況_図4大阪圏の空室率の動向

20140530_市況_図5大阪圏の需給バランスの動向

出所:株式会社一五不動産情報サービス


6.2014年6月10日付 SGリアルティ(株) プレスリリースより
7.2014年7月3日付 グローバル・ロジスティック・プロパティーズ(株) プレスリリースより
8.2014年8月11日付 オリックス (株) プレスリリースより
9.2014年6月20日付 南海電気鉄道(株) 第97期有価証券報告書(88頁)より


(2)賃料動向

 2014年7月の大阪圏の募集賃料は3,300円/坪で、前期の3,240円/坪から60円/坪(プラス1.9%)の上昇となった。大阪圏の募集賃料は、3四半期連続の上昇で、1年前の2013年4月の3,150円/坪を底に、賃料の回復傾向が続いている。良好な需給環境を背景に、当面は堅調な賃料動向が期待できそうだ。

20140530_市況_図6大阪圏の募集賃料の動向

出所:株式会社一五不動産情報サービス
注:Nはサンプル数を示す。点線は各期の賃料サンプルのうち、上位10%と下位10%を結んだもので、賃料サンプルのバラつき具合を示す。


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